失はれる物語

ISBN:4048735004
単行本
乙一
角川書店
2003/12
￥1，575




「Calling you」
自分にしか見えない携帯電話に、ある日電話がかかってきて・・・。
そんな経験から大人になっていく主人公の話。

「失はれる物語」
事故で右腕の感覚以外をすべてなくしてしまった人の物語。
奥さんが右腕に奏でるピアノは、はかないです。

「傷」
他人の傷を治すことが出来る子ども。
けど、その代わり自分の体に傷が増えていって・・・。
どうしてそんなに、がんばれるの？と思えて、けど、2人の関係がよいです。

「手を握る泥棒の話」
おばの泊まっている部屋に泥棒に入ったつもりが実は・・・。
ラストがなんかいいです。小説ならではの話かな。

「しあわせは小猫のかたち」
昨日読みおわったのと、同じものなので飛ばした。
気になるのが小猫？子猫？
目次と本編で表現が違うので、気になる。

「マリアの指」
唯一の書き下ろし。
電車の事故がらみなので、描写がちょっとえぐい。
推理としても楽しめるかな、主人公の調子が悪いのは、
ほんとに呪いかなんかかと思った。

そしてこの本のあとがきは、いつになく真面目なことが書いてありました。
この本は1つをのぞいて、文庫で出版されたものを一般向けの人にも
読んでもらおうとまとめたと、ある意味敗北と書いてある。
でも、実際はそんなことないと思うけど。
私は乙一という作家をもっと読んでみたいなと思って、昨日読み終わった
「失踪HOLIDAY」も読んだわけで。
魅力ある作家、本には、出版形態はあまり関係なく、影響あるのは
ほんとに最初だけだと思うのです。