辻村深月
単行本
講談社
発売:2009/09/15
1,680円









立て続けになってしまうけど、辻村作品。
ネタバレせずに書くのが難しい・・・かも。
1週間ほどかけて、最後は止まらなくなって読みきってしまったんだけど、
そのあと眠ったら、もう完全に影響受けてますというような内容の夢を見てしまって、
目が覚めたあと、夢でよかった・・・と思ってしまいました。


母親を殺してしまったらしい幼馴染のチエミが失踪した。
何かひっかかることがあるらしい、みずほは友人、恩師、同僚など、
チエミの関係者に話を聞いてまわることに。
そして明らかになっていく真実・・・。
同世代というより、現時点で同い年の私と主人公たち。
身につまされることばかりです。

この小説のタイトル、何だろう?と思うものですが、
半分くらい読んだところで、あ、これかもと思うものがあって、
実際その通りだったんだけど、でも、意味合いというものが私の考えていたものとは
全然違いました・・・。


父と息子小説なら、いくつか読んだことがあるんだけど、(流星ワゴンとかトキオとか)
これは母娘小説とでもいうのかな、女子力全開であります。
父と息子の方を読んだときは、男同士ってこういうものなのかなあって言う感想だったけど、
この本の母娘は、うーん、、、怖いです。
チエミもみずほもどっちの母娘も怖いです。
でも怖いだけではないのです。
実際にこういう母娘ってありそうで、あえていうなら、チエミの方がなさそうかな。
どちらも、えっ・・・て思うエピソードが出で来るけど、とにかく。


女同士って、あまり具体的に書くと生々しいし、多分引かれると思うのでぼかすけど、
そりゃまあ、怖い部分ありますよ、自分も女だけど。
そういう自分や同類の人たちに自己嫌悪とか嫌悪とかしつつも、いわゆる空気読むという
行動を起こすことによって、関係ないところでしか不満を消化できない。
思ったままとか、言えたらすごいし、ある意味かっこいいとは思うけど、
先のことを考えたら絶対にできないと思う。
男性だとこういう思いってないのかな・・・、ないならうらやましい。
わりと、そういうしがらみから、平均よりは少ないと思ってる環境にいて、
すぐ感情が顔に出てしまう私でも、我慢・・・とか、流してしまえとか思うことがあるので。


段々感想から話がずれてきたけれど、多分女性なら共感どころが多いはず。
でも、共感できるって口に出してはちょっと言いにくいかも。
特に友達の前で共感できるなんて言ったら、やっぱりこういう感情あるんだなって、
友達に公に認めてしまうことになるから。
だから、読んで欲しいとは思うけど、直接の友達には勧めにくいかも・・・。


そうなると男性がこの本を読んだとき、どう思うのかはすごく気になります。
やっぱり女って怖っ!!って思うのかなあ~。
確かに怖いけど・・・でも、それがすべてだとは思って欲しくない。
我慢とか流すとかですませないことだって、たくさんあるから。
本気や本音で行動したり、話したりすることだってあるのだから。
それに、この本に出てくるある男性だって、充分いそうだけど女性からするととても怖い。
(というか、本物の女性の敵だろうなあ)
だから、みずほが彼に対して最後にした行動は、すっとしたし。


なぜチエミは母を殺めてしまったのか、ということはミステリとして重要な部分だけど、
それ以上にこの本は、母と娘という切っても切れない関係だったり、
お互いの目から見えていることだけが、真実ではないということを気づかせてくれたと思う。


最後に明らかになる真実。
タイトルの意味。
辻村さんの作品は、救いがあるけれど、今回は救いだけで終わらないと思う。
救いであると同時に、何て残酷な最後なんだろうと思う。


辻村さんは、チエミとみずほ、どちらが私でもおかしくなかったと言われてます。
私もきっとそうなんだろうと思う。
厳しいけど、この事実を乗り越えて行ってくれる未来を信じたいと思います。

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