ラン 

2008年9月6日 小説
ISBN:978-4652079331
単行本
森 絵都
理論社
2008/6/19
¥1,785





久しぶりの新刊です。
楽しみにしてました。
家族を失ってしまって天涯孤独の主人公は、生きることよりも
死んでしまった家族の方ばかり向いていた。
同じような境遇の紺野さんから譲ってもらったモナミ1号という
自転車に乗るうちに、偶然死後の世界にたどり着いてしまい
家族と再会するが・・・。
その後いやいやながら40キロを目標に走ることをめざす。

とっても後ろ向きな理由で走り始めてしまった主人公。
今までたいした運動もしてこなかったので、すぐにバテバテ。
そんな状態からスタートして、少しずつ進歩したり交代したり。
真知さんとのバトルは、テンポ良く、ただむかつく存在だったのに
チームメイトになることによって、お互いの存在を認めていく課程が
途中から楽しくなってきました。

他のチームメイトも個性的でドコロさんを始めとして、
みなが自由にそれぞれの目標を持って、自分の力で走り続けていく
そんなところがとても読んでいて楽しかったです。
今後の大島君も気になるところだけど、どうなんだろ・・・。

それとは反対に楽しいはずの家族の団欒が、だんだん主人公にとって
寂しくて悲しいものになっていくのが、読んでてつらかったかな。
でも最後には、きちんと前を向いて目標に向かっていくところが
とっても良かったと思います。

普通のスポーツ小説というよりは、カラフルのように
重くならずに死というものを考えさせてくれるファンタジーは、
さすがもりえとさん、じっくり温めて書いたんだろうな〜と
思える1冊でした。

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