ISBN:978-4480804112
単行本
瀬川 深
筑摩書房
2008/03
¥1,470





チューバという楽器を知っている人は、あまりいないでしょう。
吹奏楽で使う1番大きい楽器って言っても、なかなか通じないかなぁ。
そんな楽器を題材にしたことに興味を引かれて、読んでみました。

平凡ではあるけれど、中学時代になんとなく始めた吹奏楽で担当することになり
先輩にも恵まれてと、このあたりまでなら普通である。
けれど、彼女は一旦楽器から距離を置く。
そして自費でチューバを購入し、どこに所属するでもなく吹き続けていた。
ある男に出会うまでは。

楽器を少しでもしている人なら知っているだろうけれど、
この手の管楽器というのは、かなり高い。
しかも大きいものであればあるほど、おそらく高い。
そこまでして彼女にチューバを続けさせることになった、
ラジオから流れてきた音楽、そこへの憧れ。

回りに理解させることは難しいだろうなという気持ちは、
確かにそうかなと、思います。
私も今も昔も楽器をかじってはいるけれど、やっぱりチューバを
ただ吹くだけのためにというのは、やっぱり本当に理解は出来ないかも。
ただ彼女の語りから、逃れられなさだけは感じることが出来る。
それは、行動に移す移さないというだけの違いであって、
誰もが楽器ではない何かにそういうものを、持っているのかもしれないから。

この著者は、ここまでチューバやらその他を語るとは何者?って
思いましたが、現役の医師らしい・・・。すごい・・・。

この他、2編がおさめられてます。
最後のプラネタリウムの話が、ちょっとよかったかな。
でも、インパクトでいうと、断然表題作。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索