ISBN:4062136813
単行本
佐藤 多佳子
講談社
2006/10/25
¥1,575





高校の最終学年を迎えた新二。
入部当時はまったくの素人だったが、
今では県有数のベストタイムを持つまでに成長した。
才能とセンスに頼り切っていた連も、
地道な持久力トレーニングを積むことで、
長丁場の大会を闘い抜く体力を手にしている。
100m県2位の連、4位の新二。
そこに有望な新入生が加わり、部の歴史上最高級の4継(400mリレ…



二部を読み終わってタイミングよく、三部が手に入ったのでイッキ読み。
最初はそうでもなかったんだけれど、二部くらいからどんどん短距離走の
魅力にはまっていき、まるで新二がどんどん実力を付けていくのと同時に
先がもどかしく読み進めていった本になりました。

天才的なスプリンターである連と、サッカーから転向してきた新二。
昔からの友人であった2人が高校陸上を舞台に、どんどん実力をつけ、
1年、2年、3年と進むに連れてのレース展開が、どきどきしっぱなし。
陸上ものといえば、箱根駅伝の「風が強く吹いている」を
今年に入ってから読んだんだけれど、あれは走っている時間が長くて、
走りの展開と同時にランナーそれぞれのかかえている思いなんかがあって、
そういうのがとてもよかった1冊なんだけれど、
一瞬で終わってしまう、100m.なんかでもそのレースにたどり着くまでの
積み上げだとか、ちょっとしたミスですべてが変わってしまうところ、
その恐さとおもしろさが、本当によかったです。
一瞬ということならばどこかで見かけたけれど、「DIVE!!」の方が
感覚は似てるのかもなぁと思った。
でも、この物語は個人競技でもあり、リレーのようにチーム競技でも
あるというところだと思う。

インターハイという言葉はよく聞くけれど、高校時代スポーツとは
ほぼ無縁だった私には、知識としてしかなかった舞台。
けれど、それに向けて本当に少ないチャンスを実力+αで競う選手達は
個性が素晴らしくて、こんな風に走れたら気持ち良いんだろうなと
思わせてくれる3冊でした。

そんな中でも、破れていくライバルだとかチームメートもあったり、
結果を求められる世界にいる以上仕方のないことなんだけれど、
キリリとした痛みを感じずにはいられないとも思う。

まぁ感動的なだけではなくて、妙に変なこだわりを持っているチームメートとか
連のように最初の頃の逃げ腰なんかは・・・なんとも(苦笑)
その分、真剣になったときに光るものがあるのかもしれない。

でもねー、ちょっと残念ではあるのがもう少し先まで書くことは
出来なかったのかなぁってこと。
これは面白いと思う本だからこそのことかもしれないけれど、
もう少し、新二や連の走る姿を追い続けたかったなぁってこと。
健ちゃんのこともね、本線からは外れるけれどもう一押し欲しかった。
高校入学当時やあの時の新二の気持ちのことを考えると、余計。
あと、谷口のことも。
もうちょっとはっきりしたことが、あるのかもと思っていたので・・・。
これは陸上の物語だから、ナシでも良いといえば良いのかもしれないけど、
やっぱり心残りではあるのですよ。
あくまで主役はショートスプリントだとしても。

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