ISBN:4104541044
単行本
三浦 しをん
新潮社
¥1,890





箱根駅伝、お正月の風物詩です。
それを題材にした、まさに青春小説。
すごく、すごく面白かったです。

高校生のときに、天才と言われながら走ることを辞めてしまった走。
大学に進学し、なんとなく誘われて入ったアパートは実は陸上部の寮。
自分達が陸上部員である自覚がまったくなかったメンバー達と、
唯一自覚のある清瀬により、箱根駅伝を目指すことになります。
陸上経験すらないようなメンバーもいる中で、
出場することすら無謀な箱根駅伝に、本当に出ることが出来るのか・・・?

箱根駅伝は、毎年全部ではないけれど何となく見てしまうものだし、
私もこの小説を読むまでは、細かい出場条件などは知らなかったんだけど、
箱根駅伝は距離も環境も、他の駅伝と比べてもとても大変なもののようです。
20と決まった出場チームのうち10は既に去年の大会によって、
シード権を与えられ、残りの10も常連が犇く中、
それの中にどうやって初出場でほとんど素人、しかも10人と言う
ぎりぎりのメンバーで挑むのか。
清瀬の提案は、誰であっても無謀だと思うことです。
しかし、竹青に集まるべくして集まったメンバー達は、
それは個性的で、走のように天才的な才能を持っていなくても、
箱根を走りぬくために、どんどん成長してく姿はとてもまぶしい。

私は走ることはかなり苦手です。
マラソン大会とか、イヤでイヤでしょうがなかった方です。
しんどいし、遅いし、何でどうやったらあんなふうに早く走れるのか、
上位の人たちを見ていて、よく思っていました。
でも、この本を読んでいたら、自分の思うとおり走るって、
すごく気持ちの良いことなんだろうなぁと、思えた。
それを実現することは、きっと私には出来ないことなんだけど、
出来ないことを本であっても、少しでも感じさせてくれてた
この本はすごいと思う。

多少実際とは違うこともあるらしいし、何分何秒と言われても、
それがどれくらいすごい記録であるのか、やっぱり分からないけれど、
この大会に賭けて、時にはぶつかり合いながらもやり遂げた
寛政大のメンバーは、すごい。
走や清瀬のように走ることが当たり前であった人はともかく
元々陸上から離れていたり、縁がなかった人たちです。
他にもいろんなことを抱えていて、それが走るということとは
直接関係なくても、
やり遂げたことは1人1人の糧になり、道になることも間違いなくて、
言葉に出来ない葛藤や思いが、1人ずつ違っていてそれぞれよかったです。
走や清瀬がこの話の中心人物であることは間違いないけれど、
やっぱり10人全員が主役であると思う。

でも、気になるのは、鈍い1年生3人組の恋。
鈍すぎ&なんで大会中に気がつくんだよ!と突っ込みを入れたくなるけど、
結局どうなったのかなぁ・・・。
すごく気になる。

やっぱりこれ、今年の箱根駅伝までに読み終わりたかったな。
そうすれば、本物を見ながらこうして走っているメンバー達にも
この本を重ねて、もっと楽しく応援が出来たと思うし。
箱根駅伝好きな人は、是非どうぞ。

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