ぼくのメジャースプーン
2006年6月26日 小説
新書
辻村 深月
講談社
2006/04/07
￥1，019
もし、とっても大切な人が、何にも悪いことをしていないのに、
深く深くずっと残ってしまうような傷をつけられたら、どうしますか？
その犯人に対して、復讐をしますか？
黙って忘れようとしますか？
仲良しのふみちゃんにウサギの飼育当番を代わってもらったぼく。
しかし動物を殺すことをなんとも思わない市川が、
ウサギ達を傷つけ、ウサギが大好きなふみちゃんの心を傷つけてしまう。
ぼくにだけある、不思議な言葉の力。
それを正しく使うために、ある人の下へ通うことにした1週間。
このお話は、「ぼく」がどんな言葉を市川に言うのかということも気になるけれど、
秋先生との1週間、どうやって言葉を決めるのかの方がずっと心に残る。
どうあがいたって、起きてしまったことは取り消されないのだから。
被害者の方が、ずっと起きたことに向き合っていかないといけないのだから。
犯罪って？罪の重さって何でしょうか？
市川はウサギを殺したことで、大学を退学にはなったけれど、
そんなことはどうでもいい、というような人間で。
ウサギの命は人間よりも軽いから、誰が決めたことでもないけれど、
知らず知らず誰もが思ってしまっていること。
そのため、有罪だけど執行猶予がつく。
私なら、どんな言葉を選ぶだろうか。
「もし○○しなければ、◇◇◇になる」
この言葉どおりになる、力を持ったのが、ぼくと秋先生。
ちなみに秋先生は、子どもたちは〜に出てきた先生です。
あの学生に言ったセリフ、とても気になっていたけれど、
これだったんだな、とつながった。
他にも多分って人が少し。
ぼく、が選んだ言葉は、決していい選択だったとはいえないけれど、
彼なりの精一杯さが伝わってきた。
好きじゃない、とか、自分のため、とか全部自分を責めているけれど、
小さな胸で抱え込んでしまっていたんだよね。
私にはぼくのような能力はないけれど、これからも考えてしまうかもしれない。
そして、読んだ人にはみんな、考えて欲しい。
どんな言葉を選ぶのかを。
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