ISBN:4062123509
単行本
豊島 ミホ
講談社
2004/05/13
¥1,260




思い返してみると、最初に読んだ「檸檬のころ」って、正統派だったんだなぁと思う。
この「ブルースノウワルツ」に収録されてる話は、おとぎ話のようだったから。
でも、おとぎ話って、込められてるものがあるんですよ・・・。

ブルースノウのほうは、ある日父親と迎えに行った弟は、
野生児だった、、というところから始まる物語。
奇抜な始まり方だなぁとは思っていたけれど、
中心となる部分は主人公の心境の変化でした。
その変わった弟と言う存在は、確かに主人公にとって
影響をあたえたところがあるけれど、
少女から大人の女性へと変わりたくないのに変わっていく
周りの扱い、自分。
ただの幼馴染のような存在だった婚約者の変化。
そちらが徐々に現れていく。
現代ではない設定とは分かっていても、今と通じるものがあるんではないかな。

もう1つのお話は、片思いの相手がある日突然亡くなってしまう。
周りがどんどん忘れていく中で、私だけは忘れないでおこう、
思い描けばいつでも彼はそばにいるんだから・・・という、
ちょっとよく考えたらあぶない女の子?の話。
でもそういうことが無理なことは本人が1番わかっていて・・・。

どちらの話も変わらないと思っていたものが、自分の知らないところで
実は動きつづけていて、その現実に怖くなってしまうこと、
そんな気持ち、あせりが伝わってくる。
私にもそういう経験はあります。
自分から変えていこうとして変えたもの、新しく出会ったものに対しては
全然抵抗がないのに、気が付けば変わらざるえない現実に、落ち込んだこと。

ただの手抜きな人と思っていた、ブルースノウの母親は、
自分の腕で今の生活を掴み取ったのと同じように、娘に向かって

「5年後には忘れている、台詞は覚えていても、それに込めたものは忘れている」

という言葉、大人だからこそ、ですね。
主人公が感じている気持ちがわからないでもないけど、
母親の言うとおりなんだと思ってしまう私。
今となってはその気持ちがわかる。
そういう年齢だってことなんでしょうね。

既刊は読んでしまったので、次楽しみにしてます。

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