その日のまえに

2006年1月8日 小説
ISBN:4163242104
単行本
重松 清
文藝春秋
2005/08/05
¥1,500




「その日」とは、大切な人の命が終わりを迎える日のこと。
家族が、自分がその日に向かって思いをはせ、不安・悲しみと
わわずかな希望とで過ごしていく毎日。

もし、近々大切な人を亡くすかもしれなかったり、最近亡くした人には、
そうそう気軽に進めることの出来ない本かもしれない。
私にはきちんと、いつごろまでです、と伝えられてから
大切な人を亡くしたことがないんだけれど、そう思ってしまう。

小さい頃、どちらかというと嫌いだった同級生を亡くしたり。
夫に先立たれて生活していく中で、出会った昔の教え子がいたり。
何の問題もないと思っていた自分に、近くやってくるとわかったときの行動だったり。
子どもでも大人でもないから、母親の思いをどう受け止めたらいいかわからなかったり。

この本は、短編集です。
はじめは待ったく別のお話で、テーマみたいなのだけ共通してるのかなと思ったけれど、
そうではなくて、ちゃんとつながっていたんです。
それぞれ心に悲しみや不安をかかえていても、それは全然余計なものじゃなくて、
作中にも書かれていたとおり、考えることが答えなのかもしれない。

たくさん、たくさんこの本に出てくるような人は、いるでしょう。
隣のあの人が、家族が、私がそうなるかもしれない。
極端に悲観的に考えるものではないと思うけれど、
こんなふうに周りの人と向かい合って、
きちんとその日を迎えることが出来るというのは、
ある意味幸せなのかもしれない、とは言うけれど、
やっぱり不安だし悲しいものであることには、変わりないと思うのだけれども。

なんとなくこの本を読んでたら、やっぱり親孝行できるときに
しとかないとだめやなと思ってしまった。
それだけが理由ではないけれど、電話をしました。
めずらしく自主的に。

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