いつかパラソルの下で
2005年7月10日 小説
ISBN:4048735896
単行本
森 絵都
角川書店
2005/04/26
¥1,470
まず、直木賞候補おめでとうございます。
分かったのが読む直前という絶妙のタイミングだったので、
とてもとても楽しみになりました。
1年前、父親が亡くなった直後は元気だった母親が今では
見る影も無く無気力な状態になっている。
原因は1年前に亡くなった父親が浮気をしていたらしい・・・。
そんなことを兄妹に告げた野々は、厳格だった父がどうして浮気をしていたのか、
父親が気にしていた「暗い血」とはなんなのかを、
なりゆきで兄妹3人で探ることになり、ついには父親の故郷、佐渡へ。
そこは、父親が高校を出て以来まったく帰省していない場所だった。
読み進めれば進むほど、何この父親?!というくらい頑固親父で、
これならば野々とその兄が二十歳で家出をして連絡を一切取らなかった
ということが納得いくようなもの。
野々はいわゆるフリーターで、お気楽に見える生活をしているけれど、
内心では性的なコンプレックスを抱えていて、
それを父親のせいではないかと思っている。
結構、痛々しい・・・。
父親の問題に突っ込んでいくに連れて、自分の恋人との関係もくずれそうになります。
お父さんがね、浮気してたなんてことになったら、すごく嫌だし、
多分多くの人は家の親に限って!と思うのは、誰でも同じでしょう。
特にこんな厳しい父親ならば。
子どもにとって親って言うのは、男とか女とか以前に父親とか母親であって、
そういうなまなましい部分が自分の親にあるんだなんて、
普段考えたりしないものです。私もそうです。
亡くなってしまったら、どういうつもりだったのか、何を考えていたのか、
それを確認するすべはまったくないわけで、
不意打ちされて逃げられたような状態になってしまうわけで。
それでも、自分たちなりに答えを見つけ出そうと必死になる3人は、
いつもはバラバラでもやっぱり兄妹なんだなぁと、感じた。
うちの姉弟も、結構バラバラだけどこんなことがあれば、こうなるのかな、とか。
いや、無い方がいいのだけれど。
野々求めていた答えと、見つかったものは同じではなかったのかもしれないけど、
父親の呪縛ともいえるものから解放された、3人の成長はすがすがしい。
「お父さんのせいで・・・」ということは、やっぱり違うんだよね。
0%違うとは言い切れないけれど、親子というのは乗り越えていくものなのかもね。
意外だったのは、野々と恋人との決着。
そうきたか〜、私は正反対の結末だと思ってたんだけどな。
まぁそれもいいかな、うん。
このタイトルにあるような、いつか〜というのはとても曖昧なことだけど、
そういう曖昧さも、いいかなと思うお話でした。
単行本
森 絵都
角川書店
2005/04/26
¥1,470
まず、直木賞候補おめでとうございます。
分かったのが読む直前という絶妙のタイミングだったので、
とてもとても楽しみになりました。
1年前、父親が亡くなった直後は元気だった母親が今では
見る影も無く無気力な状態になっている。
原因は1年前に亡くなった父親が浮気をしていたらしい・・・。
そんなことを兄妹に告げた野々は、厳格だった父がどうして浮気をしていたのか、
父親が気にしていた「暗い血」とはなんなのかを、
なりゆきで兄妹3人で探ることになり、ついには父親の故郷、佐渡へ。
そこは、父親が高校を出て以来まったく帰省していない場所だった。
読み進めれば進むほど、何この父親?!というくらい頑固親父で、
これならば野々とその兄が二十歳で家出をして連絡を一切取らなかった
ということが納得いくようなもの。
野々はいわゆるフリーターで、お気楽に見える生活をしているけれど、
内心では性的なコンプレックスを抱えていて、
それを父親のせいではないかと思っている。
結構、痛々しい・・・。
父親の問題に突っ込んでいくに連れて、自分の恋人との関係もくずれそうになります。
お父さんがね、浮気してたなんてことになったら、すごく嫌だし、
多分多くの人は家の親に限って!と思うのは、誰でも同じでしょう。
特にこんな厳しい父親ならば。
子どもにとって親って言うのは、男とか女とか以前に父親とか母親であって、
そういうなまなましい部分が自分の親にあるんだなんて、
普段考えたりしないものです。私もそうです。
亡くなってしまったら、どういうつもりだったのか、何を考えていたのか、
それを確認するすべはまったくないわけで、
不意打ちされて逃げられたような状態になってしまうわけで。
それでも、自分たちなりに答えを見つけ出そうと必死になる3人は、
いつもはバラバラでもやっぱり兄妹なんだなぁと、感じた。
うちの姉弟も、結構バラバラだけどこんなことがあれば、こうなるのかな、とか。
いや、無い方がいいのだけれど。
野々求めていた答えと、見つかったものは同じではなかったのかもしれないけど、
父親の呪縛ともいえるものから解放された、3人の成長はすがすがしい。
「お父さんのせいで・・・」ということは、やっぱり違うんだよね。
0%違うとは言い切れないけれど、親子というのは乗り越えていくものなのかもね。
意外だったのは、野々と恋人との決着。
そうきたか〜、私は正反対の結末だと思ってたんだけどな。
まぁそれもいいかな、うん。
このタイトルにあるような、いつか〜というのはとても曖昧なことだけど、
そういう曖昧さも、いいかなと思うお話でした。
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